“路上リハビリ”編
いよいよ路上再デビューです。
何せ15年ぶり、いくら車検が通ったからと言って
普通に乗れるモノではありません。
まずはご近所から徐々に行動範囲を広げて行きました。
普通に乗るには今のところ何ら異常なし。快調です。
しかし市街地ではあまり負荷が上がらず
肝心の所が解りません。
負荷を上げるなら“高速”が簡単なのですが
さすがに「もしも」の時を考えると怖くて乗れません。
(もしも確率80%!)
そこで第2の手段、山道です。
下道をのんびり走っても2時間程度のところにある
筑波山をテストコースとしました。
自走による帰宅が出来なくなっても良いように
お店の休みの水曜日、嫁さんのJAF会員証を胸に忍ばせ朝から出かけてみました。
初めての遠乗りワクワク・ドキドキです。
そんなドキドキとは裏腹に何事もなくあっさりと筑波山に到着。
いよいよ山道です。
ここでなんと大きな歓びが。
そう、楽しいのです。それもスッゴク!
非力なエンジンを助けるように、車体の軽さを武器に駆け上がります。
「赤の8号」はミッションもパブリカ用と思われ(デフも?)
ギヤが少しショートなのですがそれが山道ではピッタリです。
ステアリングも切り始めは少しダルな印象が残りますが
切り込んで行くとスッとノーズが入って行き強い横Gを感じます。
床までアクセルを踏んでもタイヤは破綻することなくトラクションをかけ続けてくれます。
「気持ちィィーーー!!」
「もしも」などと言う考えは一気に吹っ飛び、夢中になって上って行きました。
上の駐車場で一息、余韻に浸ります。
いくら「スポーツ・カー」と言っても40年も前のクルマ。
「味のある走り」だろうとは思っていましたが
「走る歓び」などは期待していませんでした。
それが「!」「!」「!!」の連続です。
今までの苦労は何処へやら、「買って良かった〜」しみじみ思いました。
と思ったのもつかの間、香ばしい香りがしてきました。「?」
あぁっ、エンジンルームから煙が「!」。
確かめてみるとオイル・レベルゲージがブローバイ・ガス圧で抜け
そこからオイルがEXパイプにたれていました。
少しホッとしてオイル量を確かめてみると
ゲージの先にチョットしか付きません。
補充オイルは持ってこなかったので、本日は早じまいとしました。
まだリハビリ中と言うことを思いだし各部を入念にチェック、帰路につきました。
朝イチで出てきたので帰宅しても昼前でした。
その日はHCでS/pを買ってきてゲージの抜け止めを作りました。
数日後またテストコース(筑波山)に走りに行きました。
今回の目的は先日見つけた山の上の日帰り温泉。
「峠道で一汗かいて、その汗を流して帰ろう」計画です。
前回のようなドキドキは無く峠道へのワクワクで山を目指します。
筑波山に到着、まずは一汗かくため一気に駆け上がります。
「やっぱり気持ちい〜。」負荷をガンガン上げ走っていると「?」
何かエンジンが息をつきます。
どんどん酷くなりついにはエンジン・ストップ。
「??」
症状的にはGASが来ていないようだったので
確かめてみると電磁Fポンプが動いていません。
今日はJAF会員証は持ってきていません。
「いい汗」どころか「冷や汗」です。
ひとまず広いところまで坂を下って動かし入念に点検。
どうも“時々”止まるようです。
今回は温泉は中止、負荷を上げないように気を付けながら帰りました。
途中2度ほど(!)エンストし周りに迷惑をかけながらもどうにか帰宅しました。
早速電磁Fポンプを探してみましたが
現在手にはいるのはチューンドE/g用の大容量のモノが多く、
赤の8号にはリターン・ホースが無いので不安です。
ここは確実に機械式でと純正をフューエル・フィルタ(ガラス製)と合わせ注文しました。
ところが新品のポンプを付けても活きよい良くGASが出てきません。
「フューエル・タンク?」一番恐れていた結果です。
まあ頭の隅には“タンクは錆だらけだろう”ということがあったので
潔くタンクを降ろしました。
すると出るわ出るわ一山の錆が出てきました。
点検するとバッフル・プレートはかなり傷んでいますが
外殻は大丈夫そうだったので錆取り雑誌(オールド・タイマー誌)に
広告の出ていたFタンクの錆取り剤(コーティング剤付き)を購入、処理しました。
合わせてFゲージのセンダ・ユニットを点検。
実は今まであまりFメータが信用出来ませんでした。
30リットルタンクなのにEで給油しても20リットルほどしか入りませんでした。
センダ・ユニット最上位でメータF、中間位で1/2、最下位でEとなるのを確認。
コレでメータがEでもあと10リットルくらいは残っていることが解りました。
(もっともどこまで吸い出せるかは解りませんが・・・)
ここでチョットした問題が。
「赤の8号」はさすがに古いクルマのためビス類が現代のクルマとは違います。
頭がマイナスが多く作業性は良くありません。特に困るのがピッチ。
M5がJISネジとなり大きなHCでも適当な長さのモノが揃いません。
今回はセンダ・ユニットの取り付けビスがパスタ(下回り用塗料。スパゲッティじゃないよ)
に埋もれていて無理矢理外したので再使用不可となってしまいました。
これはしっかり取り付けないとGAS漏れとなります。
そこでタップでISOネジのピッチを切り直し対処しました。
テストコース(筑波山)で点検したところ、こんどはOK!
ガンガン負荷を上げてレッド・ゾーン、ギリギリまで引っ張っても
よどみなくフケ上がります。
タンクから出てきた錆の量から、おそらくキャブのOHが必要と思われますが
現時点では問題ないので、また次の機会にしたいと思います。
これで安心して高速にも乗れます。
こうなると本当の遠乗りがしてみたくなります。
しかし一人きりではまだ不安が・・・。
そこで道連れとして「よしの」を選択、日帰り温泉に誘いました。
予想通り「赤の8号」には「よしの」も大喜び。(実験台とは知らずに)
交代で運転しながら奥多摩の山道&温泉を楽しみました。
すっかり楽しんだので帰りは夜となりました。初めての夜間走行です。
アン・メータを注意しながら走ります。
ダイナモ(直流発電機)のためチョット不安だった充電もOK!
しかしライトがやっぱりダメです。まるで小田原提灯のような暗さです。
まず根本的にライト自身がダメなので探します。
オリジナルはシールド・ビームなのでさすがにパス。
明るさと消費電力から言えばキセノンなのですが
ライト裏の取り付けスペースがなく断念。
そこでオークションで小糸のハロゲンライトをゲット。
しかし本体だけでは問題は解決しません。
さらに“CIBIE”のヘッドライト・リレーをゲット。
これでやっと人並みの明るさ(ただし一昔や二昔前)を手に入れました。
しばらくは町乗りに、日帰り温泉にと快調に走っていましたが
ある時ふと気づきました。
「ブレーキを踏むとハンドルが取られる!」
マスタを見るとフルードが減っていました。
哀れ「赤の8号」はまたウマの上です。
車検時は大丈夫だったのですが、やはり日常的に使うと
カップが古かったのか耐えられなかったようです。
確かめると前後6個のうち2個から漏れがありました。
さすがにブレーキは怖いのでマスタのインナ・キットを含め
すべてのカップを替えました。
2個のホイル・シリンダに多少の荒れがありましたが
耐水ペーパを当て修正。
マスタも少し引っかかりがあるような気がしたのですが
フルードを入れ点検するとスムーズに動きます。
長男に手伝ってもらいエア抜き。様子を見ます。
しばらくは大丈夫だったのですが
やはり少しずつフルードが減ります。
荒れの出ていたシリンダ、マスタ(引っかかりが気になった)と
オイル浸けになったシューを交換。
今ではフル・ブレーキングOKです。(当たり前か)
またある日「何か今日はいつもと違ったな」と
走行後見てみると、なんと右前輪の空気が減っています。
スロー・パンクチャーです。
もともと「赤の8号」は車体が軽く、路面からの突き上げが
非常に強く感じられました。
おまけにタイヤが175/70HR−12。
ローハイトの上、ゴムも硬化しておりハーシュネスに拍車をかけます。
(70扁平がローハイトなんて・・・)
そこでこの際まだ山はあるけど交換に踏み切りました。
新車当時のタイヤは6.00−12 4PRなので
ネット上のタイヤ会社のお客さま相談室で
外周径の合いそうなタイヤを教えてもらいました。
これが何と現代でも軽自動車にもよく使われているサイズの
155R−12です。(82扁平)
カーショップなどのセールでは3000円程度。
購入時付いていたアルミ・ホイールは
リム幅、オフセット量とも標準値のため
キビキビとしたステア・フィールはそのままに
ハーシュネスを大幅に軽減。満足です。
ただ厚いタイヤを穿いた“ワイド&ロー”なS800のシルエットも
捨てがたかったのですが各部への負担を考え良しとします。
またまたある日考えました。
実は赤の8号のエンジンはおそらくパブリカのモノと思われ
私が購入した時は油圧計・油温計ともセンサがなく不動状態でした。
目の前(しかもセンタ)にあるメータが動かないので少しガッカリしました。
しかし当然部品の供給もなく「ど〜しようかな」と思っていたところ
オークションで油圧センサを発見・入手。
「やった〜。これで重要な油圧は把握できる!」と喜んでいたら
表示がヘン「?」。アイドリングでなんと油圧は「マイナス」、
通常走行時でも1kg/cm2程しか示しません。
おそらく他車種モノだと思われレンジが合いませんでした。
ポンプのリリーフ・バルブのセット圧は確認したので
「しょうがないか〜」としばらくはそのまま乗っていました。
そのうちフトしたことから「抵抗でもかませてやれば」と思いつきました。
「でも何Ω?」こんな時は可変抵抗と思いアキバに買いに行きました。
可変抵抗(160円)をセンサと並列に入れ試したところ「Good!]。
見事にそれらしい値になってきました。可変抵抗を調整し
アイドリング1kg/cm2+
低中負荷時2kg/cm2+
高負荷時3kg/cm2+(リリーフ・バルブ作動が作動し一定)
基準がないので正確なことは分かりませんが
リリーフ・バルブの作動具合からこの辺かなと言うことで落ち着きました。
油圧計が正確(だと思う)に動き出すと次に気になるのが油温計。
しかしこちらはセンサの取り付け穴さえありません。
オイル・ライン中にブロックを噛ませそこにセンサを取り付けることも考えたのですが
結構お金がかかりそうなので却下。
さらに色々あさっているとバイク用のドレーン・プラグに内蔵された
センサなら無加工で取り付けられることに気づきました。
そしてYOSIMURAで発売しているセンサで流用できそうなのがありました。
しかしコレにも大きな問題がありました。
1.温度における抵抗値の出方が逆。
2.抵抗値の大きさの違い。
メータの値 60℃ 100℃ 130℃
現車の抵抗値 75Ω 120Ω 500Ω
流用センサ 11kΩ 2.5kΩ 1.2kΩ
*注 センサの値は天ぷら鍋用温度計による実測値
最近の温度センサは温度が高くなると抵抗値が低くなるモノばかりです。
(この方が正確な値を求めることができる)
「コレでは針の動きが逆だ〜」
「でもコレも結線の方法と可変抵抗で何とかなるだろう」とまたアキバへ。
ちなみに可変抵抗はまた160円。しかし電車賃が片道790円。
2往復で3160円。(たまらん!)
そしてまたジャスコの店番の時に計算を始めました。
しかしなかなか上手くいきません。
抵抗とセンサを直列にしたり、並列にしたり・・・。
抵抗とメータを直列にしたり、並列にしたり・・・。
センサとメータを直列にしたり、並列にしたり・・・。
それらを複合したり・・・。
なんとノート12ページにもわたり計算したのですがダメでした。
「・・・(疲れた)」。
正常に動かすことは断念しました・・・。
しかしある温度限定なら合わせることが出来るので
100℃(メータに線がある)に設定してみました。
すると油温60℃で105℃を、
油温130℃で90℃程度をを表示する様になりました。
もっとも要は電流計なので回転数やバッテリ電圧などにより変動します。
赤の8号は直流発電機のためよけいに安定しません。
でも「参考にはなるな」と自己満足。(こればっかり)
もう一つ電装話。
フューエル・タンクの錆によるエンストの時に
痛感したのが“ハザード・ランプ”の存在。
いつ何があるのか解らない「赤の8号」にこそ必要なモノ。
しかしS800には最終モデルにしか設定がなく、いろいろと考えていました。
行き着いたのはやはりバイク用品の流用。
デイトナ製のハザード・キットがお手頃なので購入。
取り付けはほとんど“ポン付け”。
嬉しいことにS/wがダッシュ・ボードに空いていた穴にピッタリ。
違和感なく装備することが出来ました。
しかしいつものごとく問題が一つ。
配線の関係でハザードを点けてもメータ・パネルのターン・シグナルランプが点きません。
リレーの作動音もあまり聞こえないため、そのまま走行することしばし。
そこでターン・シグナルランプを左右独立させ対応。
何かドンドン現代のクルマに近づいてきました。(?)
これで思い当たる所は一様手を入れたことになります。
まだ2、3確かめたい所もあるのですが
取り立てた症状も出ていないので次回の車検時にと思っています。
番外編 燃焼ヒータの巻
TOYOTA S800に興味を持った理由の一つに燃焼ヒータがあります。
S800は空冷のため冷却水による暖房は出来ません。
パブリカにはヒート・エクスチェンジャによる暖房装置があるのですが
なぜかS800はOPで燃焼ヒータの設定でした。
“ガソリンを燃やして暖を摂る”なんて短絡的な発想でしょう。惹かれます。
購入したクルマには残念ながら装備されていませんでした。
雑誌の個人売買欄やオークションなどに完動品が
時々出るのですが何と15万近くします。手が出ません。
ジャンク品はやはり欠品が多くそのままでは動きません。
するとある日「本体、S/w、IN・EXパイプ、フューエル系」の揃った
ジャンクが出品されました。足りないモノはダクトなど。
しかも燃焼ヒータのマニュアルも復刻版が出ています。
「チャンス!これなら何とかなりそうだ」と4万ぐらいで落札。
まずは本体のOHから始めます。
全体的にはOKなのですがファンが回るとボディと干渉し
にぎやかな音を立てます。修正をしましたが完全には消えません。(妥協)
フューエル系ではマグネチック・バルブはあるのですがパイプがありません。
そこで自動車部品屋でFホースを購入代用します。
試しに燃圧をかけると見事に各部からガソリンが漏れます。
パッキン類の硬化のためでHCにてゴム・シートを買ってきて自作し対処しました。
耐油性のモノがなく少し不安ですが漏れは見事に止まりました。
IN・EXパイプはあるのですがINパイプのジョイントがありません。
何か合いそうなモノはないかとHCを徘徊。
ガス管のエルボを発見。何とピッタリでした。
次に問題のダクトです。小さなRで2回直角に曲がらなければならずなかなか厄介です。
はじめはスポット・クーラ用のフレキシブル・ダクトを
考えていたのですがかなりの高温になるため却下。
またHCを徘徊しているとスチール製のフレキシブル・ダクトを発見。
径もいろいろありこれを加工することに決定。
ホース・バンドなどを使いどうにか上手く付けることが出来ました。
さらに電装系。S/wはあるのですがハーネス、パイロット・ランプがありません。
ハーネスはマニュアルを参考に自作、パイロット・ランプはいつものアキバで購入。
ついに完成。ドキドキしながらS/wON!
“ブオ〜〜〜(カラカラ)”暖かいというか「熱い」風が出てきます。
「やった〜〜」。結構嬉しかったです。
しかしこれもやっぱり30年以上前の物で融通が利きません。
「風量」「温度」とも1段階しかなくONにするとスゴイ音ともに熱風が。
靴の中の足が汗だくになってしまいます。
さらにキャビン(室内ネ)も狭く熱さで頭がボ〜っとしてきます。
窓を開けたり調整するのですが我慢できずにOFFにすると
すきま風だらけで今度は「寒〜」。
飽きないクルマです。