“ナンバ取得”編
また一部の方達向けのネタですみません。
赤の8号(トヨタS800)の整備記です。
初回は「ナンバを取得!」編の物語。
まずは「なぜ“TOYOTA Sports800”か」から。
実はヨタ8が欲しいと思ったのは2回目です。
20年ぐらい前(MAZDAにいた頃)当時乗っていた
“FIAT 131Aミラフィオーリ”のデフが壊れ
次に乗る車を考えていました。
こんな味のある車(イタ車!)に乗っていたため
もう普通の国産車には乗れなくなっていました。
昔からバイクも軽量車が得意だったため
“クルマも”と探してみました。
日本車で“ライトウエイト!”といえば
「HONDA S800」か「TOYOTA S800」。
ホンダは私のタイプではないので
後輩の中古車屋にヨタ8を見つけてもらいました。
そのヨタ8はどこかのクラブの副会長(?)が乗っていたモノで
オリジナル・コンディションの当時としてもとても良い物でした。
価格は「80万」。ん〜〜。
「いくらコンディションが良くても20年前のクルマに80万じゃな〜」
と断ってしまいました。(今考えると惜しい〜)
次にそいつが進めてくれたのが“スカイライン2000GT−R(2DrHT)”
これは「160万」。ん〜〜。
確かにエンジンは良く回るのですが
バイクを経験しているとタカがしれています。
クラッチは重いしブレーキもあまり利きません。
「これもいいや」と断ってしまいました。(これも今考えるとスゴク惜しい!!)
結局その時買ったのは“ビートル”。
最終型であと2回車検が取れる(4年乗れる)という理由です。(なんだかね)
その後もいろいろなクルマを乗ってきましたが
ヨタ8を思い出すことはありませんでした。
しかしせんべい屋に入り親父さんの車(マークU)があるため
ウチのクルマが不要となりました。
車両は廃車すればいいのですが任意保険がもったいないです。(割引率最高)
「家族を乗せるのはマークUが有るから自分だけの車が買える!」
これがすべての始まりです。
「自分専用なのだから2人乗りだな」と始めに考えたのは“LOTUSヨーロッパ”。
昔、伊豆スカイラインを気持ちよさそうに走っているのを見て憧れていました。
都合良くLOTUSの専門店「HAPPY」の息子はかつての教え子なので
メンテも心配いりません。
しかしネットで調べてみると各モデルいろいろクセがあり
一番のオススメはやっぱり最終型。すると価格は300万以上。手が出ません。
いろいろ考えていると(じつはこの時間が一番楽しい)
「そうだ、ヨタ8がある」と気づきました。
ヨタ8も程度が良い物は200万以上。
しかもそれなりに手が入れられたモノが多く
納得出来るモノはありませんでした。
こうなったら“自分で(作る)”しかありません。
それからは毎月雑誌の個人売買欄をチェック!
ついに「あった!ん?青森?」
ヨタ8を購入したのが平成15年10月。
「レストア・ベース」と記事(カー・マガジン誌「バザール」欄より)
にあったように“ひとまず動く”程度。
なにしろカギがIGキーとトランクしかなく
ドアに施錠さえ出来ませんでした。
(しかもIGキーはスバルのモノ!)
あとウィンカが出ないなど問題てんこ盛り。
内装もあり合わせで仕上げたモノで
とても現状のまま乗る気にはなりませんでした。
しかしこの車の購入に踏み切ったのは
「サービス・マニュアル」の存在です。
何と復刻版が「パーツ・リスト」と共に販売されており
「コレさえあれば何とかなるだろう」と
昔の“整備士のカン”が囁きました。
「まぁ、急いで車検をとっても自動車税が来るから
来年(H16年)4月過ぎにナンバを取ろう。」と長期計画で始めました。
まずはドアに施錠出来ないのでは車庫に停めておくことも出来ません。
ドアのキーシリンダを外し鍵屋さんへ。
マツダにいた頃に発見したシリンダからもキーを作ってくれるお店です。
ところがそうすると
1.IGキー 2.ドアキー 3.トランクキー
あとGASキャップ、グラブBOXなどにも施錠出来、
このままでは「七色(今のところ3色)のカギを持つ男」になってしまいます。
調べてみるとトヨタ・フォークリフトのIGキーがそのまま使えることが解り
早速手配、そのキーにドアとグラブBOXのキーシリンダを合わせてもらいました。
GASキャップとトランクのキーシリンダには水が入らないように回転式のカバーが付いており
これを外さないとシリンダをいじることが出来ず「無理をすると壊れそうだ」と
鍵屋さんが言うのでこの辺で妥協。現在は2枚のキーです。
IG、ドアキーなど内装をバラしたのでこのまま内装に手を入れていきました。
内装ではフロアマットが、他車のモノ(汎用品)を切って轢いておりこれを処分。
ホームセンタ(以下HC。これが無くては語れません)で
ベース・スポンジと切り売りマットを買ってきて自作しました。(なかなかの出来。自己満足。)
続いてシート。購入時より純正ではなくバケット・シートが付いていました。
純正のシートはヘッド・レストもなく座布団みたいなのでこっちの方が○。
ところがシートが左右同じ位置に付きません。フロアの幅が左右でビミョーに違います。
しかしシートの位置(特に高さ)が左右違うのはとても格好悪いので
助手席のシートの縁を少し削りました。縁にはモールがあったので見た目は
ほとんど解りません。Good!
あとはシート・ベルト。この車は新車状態ではジェット・コースタの2点式。(運転席のみ!)
こんなペラペラ・ザクザク(錆)のボディではホントの命綱。助手席共4点式を奢りました。
シートとくればペダルです。
Aペダルは純正のオルガン式ではなく錆の浮いた鉄板が1枚。高さも不自然です。
汎用ステーで高さを調整し、今風のアルミのペダルを買ってきて装着。
B・Cペダルはパットが減っていましたが
純正品が今でも供給があり(150円)装着。
次にオーディオ。プレーヤは1ボディのMDレシーバをパイオニアの化粧ボックスへ。
スピーカは昔、家のサラウンド・スピーカにしていた「BOSE」が有ったので
これを装着。(インピーダンスは範囲内)
今度は電気系。ワイパがまともに動きません。
まずS/wが汎用のトルグS/wだったのでオークションで純正を入手。
ところがオート・ストップが効きません。配線が加工されていたので元通りにし再度トライ。
すると今度は変な位置で止まります。
モータを疑いバラしてみるとどうやらパブリカ物の様です。
基盤を組み直し(位置を変えた)完成です。
次にウィンカ。右はOKなのですが左が点滅しません。
見ると前の球切れ&アース不良です。ところがバルブを替えてもボンヤリとしが点かず
やはり点滅しません。接点の汚れを疑いコラムS/wをバラしてみると
ホーンの接点用のグリスが回ったようでクリーニングで復活。
しかしよく見ると基盤のエボナイトにクラックが・・・。
裏からエポキシ接着剤で補強しました。
最後に雰囲気の合いそうなMOMOのステアリングをオークションでゲットして内装は完成!!
さて次は車検対策の整備です。
エンジン系では特に問題はなく消耗品の
Eオイル、オイル・エアエレメント、プラグ、バッテリの交換と
ドエル角、点火時期の調整などをしたらひとまずは好調です。
シャシ系では同じく消耗品のM・Dオイル交換。
ブレーキはドラムをすべて外し点検。
ホイル・シリンダからの漏れもなく、なんとFシューは4枚とも新品でした。
フルードの交換とバック・プレートのグリス・アップ、あとは調整をして終了。
ステアリングはギヤ・ボックスのオイル交換とボール・ジョイントのグリス・アップ。
今では見かけないグリス・ニップルがジョイントにあります。
ウチにはおせんべを焼く機械用にグリス・ガンがあるのでカンタンです。
EXのサイレンサには錆による穴が空いていたのでガンガムで補修。
あとバック・ランプも付けました。新車状態で装着されていなかったので
無くてもよいのですが、うしろの車に後退の意志が伝わらないとマズイので
小さめのモノを見つけ装着。
いよいよ完成!!!
と言いたいのですが何と路上復帰は15年ぶり(!)
走ってみなければ何が起こるか解りません。
ドキドキしながらナンバ取得です。
中古新規の登録となりますのでまずは車庫証明。
続いてラインの予約。ボロの車に新品のナンバ。
このままでは格好悪いので「希望ナンバ」で「8」を申請しました。
「800」ではベタだし、息子は「10−48」(トヨハチ)が良いと言いましたが
「青の6号」(アニメ)に対抗し「赤の8号」にしました。(特に意味は無し)
検査の数日前に仮ナンバを市役所から借り予備テスタを掛けに行きました。
まずココで問題が1つ。ライトの取り付け位置があまりに低く
テスタ屋さんでは光軸が合わせることが出来ません。
「ユーザ車検だからラインで合わせればいいや」とお気軽に構えていました。(あとで冷や汗)
検査の日は1日掛かりとなりそうなのでお店の休みの水曜日。
第1ラウンド、9時からです。
書類の点検、灯火類の点検、車体NOの確認など順調に進みます。
ところがユーザ車検と言うことで最新の全自動ラインに入れられてしまいました。
これが40年前に作られた「赤の8号」には合いません。
サイズが合わないのかブレーキが×、スピード・メータはパッシングが出来ず一回目は×、
排ガスも勝手に測られ×、×の連続です。
過去のプライドもズタズタに引き裂かれオロオロするばかり。
検査員に訳を話し旧式の手動(?)ラインにしてもらいました。
「やっぱりこれだ!」勝手知ったるラインならお手の物。順調にこなして行きます。
しかし予想通りライトで引っかかりました。(これ以外はすべて○)
「光度が全然足りない。光軸もダメだよ」との事。
「やっぱりライトの測れるテスタ屋を探すべきだった」と思ってもあとの祭り。
ひとまずこの場で何とかするしかありません。
この車にはライト・リレーなど当然なく全電流がS/wを通ってます。
ウィンカの状態からディマS/wの接点汚れが想像出来ます。
おまけに反射鏡までメッキの剥離が・・・。
非常手段としてバッテリからライト(Hi)まで直接配線を引きました。
こんな事もあろうかと手持ち工具はもちろん
配線(リールで)ターミナル・キットまで持って来てました。
光軸も言われたように直し再度ラインへ。
光度はOKになったのですが光軸は変わりません。
「?」再度調整ししてもダメです。(3度目の再検)
「ほとんど変わらないよ」と検査員。(4度目の再検)
スクリュを回す手応えはあるのですが、どうやらプラスティック製のナットが空回りしているようです。
タイヤ・ハウスから手を入れナットを押さえながら調整。
「ずいぶん良くなったけど、もうチョット」。(5度目の再検)
「右は○。左が下向きすぎ」。(6度目の再検)
8回目でやっと合格。一生分の再検をしたようでクタクタになりました。
(吉葉、持ち込みではこんな事はできないよね)
ココには発生した不具合の原因と結果(対策)を主に書いてきました。
当然書かれているようには一筋縄には行きませんでした。
週に1度(有るか無いか)の休みと休憩時間を見つけ
コツコツと手を入れてきたらたっぷり半年かかってしまいました。
サ〜、いよいよ8番のナンバも付き15年ぶりの路上復帰です。
こんなに長くなるとは思わなかった。
続きは次回「路上復帰リハビリ」編、お楽しみに!
(別に誰も待っていないか)